お悩み(症状別)
お悩み(症状別)
同じ疾患であっても、症状の現れ方は患者さんごとに異なります。ここでは、外傷(いわゆる怪我)を除いた、外来でよく聞かれる症状とその背景についてまとめました。診察の際に参考にしてください。
上半身の症状
首の後が痛い
• レッドフラッグサイン がない場合
急性であれば、頚椎の椎間関節やその周囲の筋肉性の痛みが疑われます。
• 肩甲骨内側や上腕外側にしびれを伴う場合
ヘルニアの可能性を指摘されることが多いですが、神経所見に異常がなければ心配不要です。
• 日本語では「肩が痛い」と表現することもありますが、いわゆる五十肩(肩関節周囲炎)は腕の付け根の痛みを指すため、異なる疾患です。
肩が上がらなくなった
腕の付け根の痛み(腕が上がらない)
→ 40歳以上の場合、五十肩が考えられます。
しびれの訴え
しびれには以下の2種類があります:
1. ピリピリ・チリチリとした感覚(正座後のような感じ)
2. モワッと麻痺したような感覚
• 本当に神経が障害されている場合は「本当のしびれ」
• そうでない場合は「しびれ感」と説明しています。
手・肘の症状
手先のしびれ・強張り
朝、手指の第二関節が腫れて強張る(両手)
→ 関節リウマチが疑われます。
掌の指先がしびれるが、小指は無事
→ 手根管症候群の可能性が高いです。
肘から手首にかけての痛み
ペットボトルを持つときに痛む
→ テニス肘が多いです。
手首が急に動かなくなった
手首を背屈する動作ができない
→ 橈骨神経麻痺が疑われます。
細かい作業が難しい・手が動かしにくい
→ 頸椎症性脊髄症に伴う巧緻運動障害が疑われます。
体幹の症状
急な腰痛
10代
• 運動系の部活をしている場合
→ 腰椎分離症の可能性があります。
下肢の痛みを伴う場合は腰椎椎間板ヘルニアを疑います。
20~50代
• レッドフラッグサインがない場合
• 筋肉性、椎間板性、仙腸関節性の腰痛が考えられます。
• ※腰痛=ヘルニアではありません。
60歳以降
• レッドフラッグサインに注意
• 骨粗しょう症による骨折や悪性腫瘍の転移、脊椎腫瘍の可能性があります(頻度は低いですが考慮が必要です)。
下肢の症状
お尻から足にかけての痛み・しびれ
• 下肢の神経所見がない場合
• ヘルニアや脊柱管狭窄症の可能性は低いと考えられます。
• 筋肉性、椎間関節性、仙腸関節性のしびれが多く、「坐骨神経痛」とされるケースもこれらが原因のことがあります。
膝の症状
膝の違和感
• 痛みを認識していなくても、関節内に水が溜まっていることがあります。
膝の裏の痛み・突っ張り感
• 関節に水が溜まっている、またはベーカー嚢腫が考えられます。
膝の内側の痛み
• 高齢者では変形性膝関節症が疑われますが、関節水腫がなければ関節外の要因を考えるべきです。
膝の前方の痛み
• 10代(運動部所属の場合)
→ オスグッド病が考えられます。
• 30歳以降
→ 膝蓋下脂肪体に原因がある可能性があります。お悩み(症状別)